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片頭痛は、単なる頭痛ではありません。日常生活に支障をきたすことが大きな特徴です。
具体的には、目の前にギザギザしたような模様(閃輝暗点(せんきあんてん)といいます)が見えた約30分後から頭痛が始まり繰り返し吐いて寝込み、光と音が苦手で布団を被り市販の痛み止めを飲んで寝たら翌朝には治ってしまうような経過が典型的です。
(前兆の閃輝暗点が出ない方もいらっしゃいます)
もちろん、頭痛さえなければ普通に生活できるのですが、月に何回も頭痛が起きてしまうと、仕事や家事がままなりません。このような頭痛発作による経済的損失は、年間3,600億円~2兆3,000億円とも試算されています1)。
片頭痛で悩んでいる方々は日本に約900万人もいると推測されていますが2)、市販薬で我慢したり、忙しかったりして病院を受診できない方々が結構多いようです。
原因については、今のところ解っていません。双子研究や母とその娘に比較的多いことなどから、遺伝的要因が疑われていますが、確実な遺伝子などの特定には至っていません。
ただ、片頭痛を起こしやすい因子としては以下のものが指摘されています3)。
もちろん、これらがすべて頭痛を誘発するとは限らず、個人差が大きいです。もし、自分に当てはまる誘因があれば、それらを意識して避けてみるのもよいかもしれません。
多くの方々が、まずは市販薬で頭痛を凌いでいるのではないでしょうか。
しかしながら、病院には市販薬以外の治療法があります。
日本では2001年から販売され、とくに片頭痛の前兆を感じる方々には、前兆を感じたときに飲めば、いつもの頭痛発作がかなり抑えられるようになります(いつもの強さを10とすると2以下に抑えられると言われています)。販売当時は「片頭痛の特効薬が出た!」と、かなり評判になりました。今でも、多くの頭痛患者さんの救世主となっています。
ただ、頭痛がピークに達してしまうと飲んでも効果が期待できないこと、前兆を感じない人には飲むタイミングを計るのが難しいことなどがさらなる改善点として挙げられます。
日本では2021年から販売されている新薬です。月に1回皮下に注射すれば、毎日のように重苦しかった頭痛が目の前がパーッと明るくなるように軽くなっていく可能性があります。頭痛薬を月に7-8回も飲んでいた人がこの注射を月に1回打つことで頭痛薬を飲む回数が3-4回以下に減ることが期待できます。しかも、毎日の鈍痛が軽くなり、日常生活を楽に過ごせるようになるかもしれません。
まだ後発品がないため月1万円(初回のみ2万円)程度の費用がかかってしまいますが、頭痛の苦しさに比べれば問題ないという患者さんもいらっしゃいます。
そのほか、抗CGRP抗体関連薬は経済的にちょっと難しいという方々には、バルプロ酸ナトリウム等の比較的安価な内服薬による頭痛予防療法があります。
バルプロ酸ナトリウムは抗てんかん薬として古くから処方されている薬ですが、通常量よりも少なめに飲むことで脳の神経細胞の興奮を抑え頭痛発作の予防効果があります。頓服薬ではなく毎日飲む必要がありますが、半年から1年程度飲み続けると脳の神経細胞の興奮が治まりバルプロ酸ナトリウムを中止しても興奮が治まった状態が続いて頭痛薬を飲む回数を減らすことが期待できます。副作用としては、気分の落ち込みが強くなったり、妊娠すると胎児に奇形が生じてしまう可能性が比較的高かったりすることなどがあり、若い女性にはあまりお勧めできません。
「初めての方」窓口
8:15~11:30までの間にご来院ください。予約は不要です。
外来受付(13ブロック)
問診票等の記入
これまでの頭痛の経過、頭痛の性状、服薬歴、受診歴、既往歴やHIT-6という頭痛による日常生活への支障度の評価シート等をご記入いただきます。
外来診察(6番)
問診票等の記載を確認し、家族歴、嗜好品などから片頭痛の可能性を医学的に判断。頭部CT(当日撮影可能)または頭部MRIの予約、血液検査等を実施。ご希望により鎮痛薬を処方。
頭痛ダイアリーをご自宅で記載していただきます。
帰宅
頭痛ダイアリーを記入
2回目の外来診察
頭痛ダイアリーをご持参ください。
頭部MRIと血液検査の結果説明、治療方針を決定。
当院は、日本頭痛学会認定の准教育施設です。また、脳神経外科専門医による診察なので、片頭痛以外の様々な脳疾患にも対応可能です。
これまで「いつもの頭痛か…」と諦めていた頭痛が最新の治療法で劇的に良くなる可能性があります。たかが頭痛、されど頭痛です。頭痛を減らして良質な日常生活を取り戻してみませんか。われわれ脳神経外科医が患者様の親身になって治療のお手伝いをいたします。
文責:日本頭痛学会認定専門医・指導医
福永篤志
毎週火曜日午前 初診外来担当
1) 日本神経学会・日本頭痛学会・日本神経治療学会監修.頭痛の診療ガイドライン2021. p113,医学書院,東京,2021
2) 「頭痛の診療ガイドライン2021」(日本神経学会・日本頭痛学会・日本神経治療学会監修,医学書院,東京,2021)p91の記載「15歳以上の年間有病率8.4%」から算出
3) 日本神経学会・日本頭痛学会・日本神経治療学会監修.頭痛の診療ガイドライン2021.p104,医学書院,東京,2021
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