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顔面けいれん

顔面けいれん

通常、片側のまぶた(上まぶた、または下まぶた)のピクつき(けいれん)から始まり、1か月程度で頬や口角にまで広がって頬が引きつれるようになり、まぶたのピクつきもひどくなってしばしば片目が開けられなくなってしまうというものです。

眠っている時には起こりませんが、起きている時に、自分の意思とは無関係に、間欠的に起こります(出たり出なかったりします)。けいれんの反対側を下にして横向きに寝ると、けいれんが一時的に止まることもあります。

直ちに命にかかわるような緊急性のある病気ではないのですが、対面での仕事を職業とする方や、他人から見られる機会の多い方などは、精神的ストレスが非常に大きくなります。また、車を運転するときなどには片目がよく見えないので危険です。

症状のポイント(左側の場合)

  • 左頬の筋肉がひきつれるため、左口角が挙上します。
  • 鼻唇溝が、よりはっきりします。
  • 左眼が開かなくなります。
  • 左眉が下がり、右眉がやや上がります。
  • 右眼がやや開き気味になります。

原因

現代医学では、脳の中の顔面神経が脳幹から出始めたところで血管(主に動脈)に圧迫されることが主な原因であると考えられています。

脳の中では、神経と血管が1ミリ未満の間隔で交叉しているところがたくさんあります。そこへ動脈硬化などで血管が蛇行したり、あるいは、脳が萎縮するなどして神経の位置がわずかに変わったりなどして、顔面神経と血管がぶつかり合うようになってしまうことがあります。

その結果、押された顔面神経(核)が興奮して、顔面神経が支配している表情筋を、自分の意思とは無関係にピクピクと動かすようになってしまうのです。

顔面神経(末梢)の走行(顔の皮下の部分)

性差・頻度

中年以降の女性に多く(男性の約2倍)、人口1万人あたり2人程度(0.02%)といわれています。

検査・診断

上記のような典型的な症状と経過から診断することも可能ですが、通常、頭部MRI(脳を写す検査)とMRA(血管を写す検査)を撮影して、脳の中に他の疾患がないことを確認し、顔面神経を圧迫している血管等を同定します。

血管の種類によって後述する手術のやりやすさが変わってくるので、画像検査は重要な情報となります。

治療法

1)薬物療法(薬を飲む治療法)

ベンゾジアゼピン系の鎮静・抗不安薬等を内服することで、けいれんが和らぐことがあります。薬を飲むだけなので患者さんの負担は軽いというメリットはありますが、けいれんを完全に止めることは難しいです。

2)ボトックス治療

ボツリヌス毒素を顔面の皮下に注射することで顔面筋を一時的に麻痺させ顔面けいれんを直接ストップさせます。注射なので穿刺時の痛みはありますが、その程度の負担で済むというメリットがあります。ただ、根治治療ではなく、注射の効果も数ヶ月程度しか持続しませんので、数ヶ月毎に注射を受け続ける必要があります。また、注射を繰り返すと顔面神経麻痺を起してしまうことがあります。

3)微小血管減圧術(手術)

全身麻酔下で行います。具体的には、耳たぶの後ろの骨が出っ張ったところ(乳様突起といいます)の根元を中心に、皮膚を長さ7-8cm程度切開し、直下の頭蓋骨に500円玉くらいの穴を開けます。骨の穴から顕微鏡を使って脳の中を覗き込むと、小脳越しの奥深くに顔面神経が見えてきますので、顔面神経が脳幹から出てくるところで血管が顔面神経を圧迫している所見を確認し、血管を移動させて圧迫を解除するように操作します。手術時間は、通常、3時間くらいです。

皮膚切開部と開頭部位

手術なので入院が必要となりますが、理論的には根治治療であるといえます。順調にいけば、けいれんが一生再発しないことを期待することができます。ただし、手術による合併症は一定の頻度で起こり得ます。

以上のような治療法のメリット・デメリットをご理解いただいたうえで、患者さんご自身の状態、ライフスタイル、価値観などに照らしわせて、自分に最適の治療法を選んでいただくことになります。

最後に

顔面けいれんは、生命にかかわる病気ではありません。しかし、けいれんによる精神的苦痛は非常に大きいといわれます。もしけいれんが気になってお悩みでしたらどうぞお気軽に受診・ご相談ください。

(文責:福永篤志)

対象診療科

脳神経外科

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