内科の主な診断群分類別患者数では、呼吸器感染症が最多となっています。新型コロナウイルス肺炎の受け入れについては公立病院の使命として5類移行後も引き続き重症患者を含む多数の陽性者の診察にあたりました。並行して従来から誤嚥性肺炎や指定難病である間質性肺炎についても可及的に対応してきました。また、ウイルス性腸炎、敗血症、尿路感染症についても当科で対応しており、肺がん、食道がん、胃がん、大腸がん、膵がん、肝がん、血液がん等の化学療法についても多数
の症例を手掛けています。医師、看護師、薬剤師、MSW等の多職種が地域の医療資源を活用しつつ、急性期から退院後の在宅療法に至るまで切れ目のないトータル・サポートを行っています。

各種腎炎の診断、治療から末期腎不全における代替療法（血液透析、腹膜透析、移植）にいたる総合的医療を行っております。
代替療法選択においては、共同意思決定（Shared Decision Making;SDM)の手法を用い、患者さんの自主性を重んじながら意思決定支援を行う事に力を注いでいます。移植のみは移植可能施設へ紹介をいたしますが血液透析、腹膜透析、そしてそれらの代替療法を選択されない方における保存的加療の継続については当科ですべて実施しております。血液透析におけるアクセスに関しては、①作成後のトラブル減少。②アクセスの選択（シャント、グラフト、パーマネントカテーテル）においてもSDMの手法にて患者さんの意思を尊重し決定する。といった２点に力をいれています。そしてアクセス外来において周辺の透析施設からの紹介患者をうけ、日帰りPTAはもちろん、普段の定期的管理を実施し、長期フォローも実施しています。

動脈硬化性疾患（虚血性心疾患、末梢動脈疾患）、心不全、弁膜症、心筋梗塞、不整脈、高血圧症、肺梗塞、静脈血栓症などの循環器疾患全般の急性期診断と治療を中心に行っています。
虚血性心疾患のカテーテル検査・治療の患者数は減少していますが、急性心不全、慢性心不全の急性増悪による入院患者が増加傾向にあります。心不全急性期の治療と並行して心臓リハビリテーションを積極的に導入し、退院後に向けての生活指導を行い、心不全の自己管理の意識を高め、退院後の再入院の抑制を目指しています。

当院では急性・慢性期小児疾患の広範囲治療を行っています。近隣の東京都立小児総合医療センターとの結びつきも長年強く、新生児疾患・腎臓疾患・循環器疾患など多くの疾患について協力関係にあります。
中でも診療の中心は腎臓疾患・および小児心身症です。腎臓疾患に関しては放射線科の全面協力を得て、核医学検査を含む画像診断すべてが可能で近隣大学病院からの依頼も受けています。また、学校検尿などスクリーニングで発見される腎疾患症例や夜尿症の患児の検査、治療も行っています。乳幼児に関しては20年以上にわたり全例に腎臓エコー検査を行っており先天性腎尿路異常症例の早期発見にも貢献しています。
小児心身症はコロナ禍以降、さらに増加傾向に拍車がかかっており、専門医が少ないこともあり、当科の存在は貴重です。疾患特性上、診療に要する時間が長くなるため予約取得が困難となっているため診療枠を増やすべく努力をしています。
呼吸管理を要する重症新生児の加療に関しては、東京都立小児総合医療センターに転院加療をお願いしており、症状の軽減が得られた後のバックトランスファーも行っています。新生児以外でも当院での診断・加療が困難と考えられた場合にはさらなる専門施設への紹介を行っています。
外来に関しては午前中は一般外来、午後は特殊外来・フォロー外来を行っています。個々の専門分野に応じた慢性疾患外来・予防接種外来を各常勤医師が担当し、循環器・内分泌代謝・神経・乳幼児健診の各分野を非常勤医が担当しています。

当科では主に消化器疾患を扱っており、特に大腸がんや胃がんの腹腔鏡手術を得意としています。また、胃粘膜下腫瘍に対するG-LECSや十二指腸のSNADETに対するDーLECSなどの特殊治療も行っています。食道がんや直腸がんに対しては術前化学放射線療法や緩和的化学放射線療法も施行しております。
そのため、がんに関しては早期から末期まで、さまざまな臓器の疾患の治療が可能です。

変形性股関節症、腰相変性疾患、肩腱板断裂の患者が多いのが当科の特徴です。高齢者の骨脆弱性骨折も多くを占めています。

診断群分類別患者数は前年度同様、最も多いのは脳梗塞、次いで頭蓋・頭蓋内損傷（手術あり）となっており、ほとんどが慢性硬膜下血種です。

当院では、前立腺がん疑い（PSA高値）に対する前立腺針生検の症例は１泊または２泊で行っています。実施件数は104件の症例を実施しています。
また、尿管結石や腎結石に対する治療は経尿道的尿路結石除去術で内視鏡手術を実施しており、５泊６日のスケジュールで行っています。

診断群分類患者数で最も多かったのは白内障片眼手術が119件でした。日帰り、1泊2日、2泊3日、の選択が可能となっています。平均在院日数は1.77日となっており、当院では1泊2日が最も多くなっていて、全国平均と比べても短期の入院で手術が可能となっています。一部の緑内障手術も施行しており、こちらも全国平均と比べて短い入院期間で治療を受けて頂いています。

診断群分類別患者数では急性炎症性疾患（急性扁桃炎、扁桃周囲膿瘍、急性咽喉頭炎など）、突発性難聴、メニエール病、Bell麻痺、Ramsay　Hunt症候群、前庭神経炎などを入院加療で行っております。慢性副鼻腔炎、鼻中隔彎曲症、肥厚性鼻炎に対して手術加療を行っております。

診療科別主要手術別患者数では冠動脈カテーテル治療（PCI）、閉塞性動脈硬化症（末梢動脈疾患）に対するカテーテル治療（PTA）を積極的に行っています。

鼠径ヘルニアに対する腹腔鏡下鼠経ヘルニア根治術は症例も多く、手術の質の高さから好評を得ています。

当院の特色である人工関節置換術と肩腱板断裂手術、二次救急病院であることから骨折手術が多くなっています。

診療科別主要手術別患者数では昨年同様に、慢性硬膜下血種に対する慢性硬膜下血種穿孔洗浄術が最も多くなっています。基本的には緊急入院の上で即日手術を行い、2週間程度で退院となります。ほか、脳腫瘍摘出術、脳動脈瘤クリッピング術、頸動脈内膜剥離術、頭蓋内外血管バイパス術、微小血管減圧術などもお行っており、全身麻酔下の手術後はHCUで経過観察を行います。

尿管結石や腎結石に対する経尿道的尿路結石除去術は内視鏡手術のため、尿管への負担が少ない細径の尿管鏡を使用しています。
膀胱がんに対する膀胱悪性腫瘍手術経尿道的手術も内視鏡手術で、水に溶解したアラグリオを内服していただき光線力学診断を併用した経尿道的膀胱腫瘍切除術も行っています。

主要手術は水晶体再建術、眼内レンズを挿入する場合、その他のもの、が大部分を占めています。143人の方が治療を受けられ術前、術後とも短期間の入院での治療が可能となっています。一部緑内障手術も施行しており、こちらも短期での入院、手術治療が可能となっています。

慢性副鼻腔炎、鼻中隔彎曲症、肥厚性鼻炎に対して手術加療を行っています。基本的に5泊6日で実施しております。扁桃周囲膿瘍に対して切開排膿術を行っております。その他リンパ節生検術、口唇嚢胞摘出術などを実施しております。