外来診療・各部門のご案内

 

診療部 外科

診療案内

当院外科の特徴

当科では内視鏡などの検査から抗癌剤や免疫療法、手術まで一貫した治療をおこなっています。
治療方針は一連の検査終了後に各種ガイドラインに準じたものを会議(カンファレンス)で検討して患者さんに提案させていただいています。
抗癌剤治療は通院によるものを基本としており、手術も入院期間が短い胸腔鏡や腹腔鏡による手術を積極的に行っています。

臨床研究

<胸腔鏡および腹腔鏡手術について>

カメラと細い道具を使った手術方法です。
当院でも以下のような手術で胸腔鏡・腹腔鏡手術を行っています。

胸腔鏡・腹腔鏡手術の種類

① 胆嚢摘出術

胆石や胆嚢炎に対して胆嚢を摘出します。

② 胃癌に対する胃切除術

胃癌、胃粘膜下腫瘍などに対して胃の切除とリンパ節廓清(リンパの掃除)などを行います。

③ 大腸癌などに対する大腸切除術

大腸癌、大腸腺腫などに対して大腸の切除とリンパ節廓清(リンパの掃除)などを行います。

④ 食道癌に対する胸部食道全摘など

従来、開胸(胸を大きく切開する方法)で行っていた食道癌手術を当院では胸に小さな穴をあけて食道を切除します。再建は腹腔鏡で胃を形成して筒状の胃管を作成して行います。

⑤ 食道裂孔ヘルニア、食道アカラシア

胃の一部が食道裂孔(胸部と腹部の仕切り板である横隔膜のあな)を通って胸部に脱出している状態を食道裂孔ヘルニアと言います。脱出した部分をもとの位置に戻して、大きく拡がった食道裂孔を縫縮(縫い縮めること)したりメッシュなどで補強します。
食道アカラシアは食道の括約筋が弛緩(ゆるむこと)しなくなる病気で食事が通らなくなります。食道の壁の一部(筋肉の層)を切除して通りを良くするのと、逆流防止機構を作る手術を行います。

⑥ 肝切除

肝臓はおなかの上のほうにあり、従来の方法で腫瘍を切除する場合には、腹部を大きく切開したり、胸部まで切開する必要があり、そのため腹腔鏡による手術ではその利点が大きく生かされます。

⑦ 鼡径ヘルニア・腹壁瘢痕ヘルニア

鼠径部や開腹手術後の創部のヘルニア(脱腸)の癒着をはがして、メッシュと呼ばれる人工の膜で腹壁の穴のあいた部分を補強します。

⑧ 胃瘻造設術

通常の内視鏡での胃瘻造設が困難な胃切除後の患者さんなどは、おなかを大きく切開して行うしか方法がありませんでしたが、腹腔鏡を用いることで小さな穴だけで胃瘻を造設することができます。

⑨ 内ヘルニア

腹腔内の一部に腸がはまり込んだ場合に、その状況の把握と修復のために行います。

⑩ 腸閉塞

一部の腸閉塞に対して、癒着している腸をはがしたりする操作を行います。

胸腔鏡・腹腔鏡手術とはどのようなものでしょうか?

当院では患者さんに痛みなどの負担が少ない腹腔鏡下手術を食道・胃癌・大腸癌・胆石をはじめとした様々な病気に行っています。
ここでは、一例として胃癌の低侵襲手術である腹腔鏡下胃切除術についてご紹介します。

たとえば胃癌の開腹手術では通常、みぞおちから臍横までの切開が必要ですが、腹腔鏡という内視鏡と鉗子(かんし)という細長い道具を使って手術をするため、もっとも大きい創が4~6センチと3分の1以下ですみます。

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 手術はおなかを大きく切開する手術に比べて、時間は少しだけ長くなりますが、出血量は格段に少なく抑えることができます
創が小さいと当然痛みが少なく、痛みが少なければ術後早期に動くことが可能なため、入院期間が短く、当院では多くの患者さんが術後7日目に皮膚縫合部の抜糸を行い、8日目に退院されています。
退院~社会復帰までの期間は仕事の内容などによって個人差はありますが、退院後2週間程度で職場へ復帰されている方が多いようです。
開腹手術の合併症の中でも、腸の癒着によっておこる腸閉塞(ちょうへいそく:イレウスとも言います)は、手術中に腸を触れることで癒着(ゆちゃく:腸がくっつくこと)が生じ強い屈曲を作って癒着した場合に内容物が詰まって起こるものです。術後早期に起こる方もいらっしゃいますが、10年以上経過して初めて起こる方もいて、嘔吐や腹痛などを生じるとても苦しい合併症です。時には手術による腸閉塞の解除も必要になります。腹腔鏡下手術では、癒着が全く起きないわけではありませんが、開腹術よりも癒着がはるかに少ないため、腸閉塞が起こる頻度が少ないと言われています。

腹腔鏡下手術のながれ

①    受診~入院まで

腹腔鏡下手術は、その適応(この手術を行うのにふさわしい病状かどうか判断すること)かどうか内視鏡検査や超音波・CT検査で病状を把握します。また、上腹部(おへそのラインより上の部分)に大きな切開を行う手術を過去に受けられた方は適応にはなりません。
その他、血液検査、心臓や肺の検査などで全身の状態をチェックします。

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これらはすべて通院で行います。
手術日が決まったら、前日または手術日が月曜日の場合は前の週の金曜日か土曜日に入院していただきます。

②    入院~手術まで

前日下剤の内服や手術当日の点滴挿入などの後、手術室に向かいます。

③    手術

手術は胃切除で3時間半~4時間程度、胃全摘で5~6時間程度かかります。大腸やその他の手術は病気の場所や部位によってかわります。基本的には輸血は行いません。

④    手術後~退院まで

翌日から歩行していただきます。歩くことは肺炎や腸閉塞などの合併症を減らします。
胃切除なら3~4日目に食事を開始し、栄養師による食事指導を行います。
特に食事など問題がなければ7日目に皮膚縫合部の抜糸を行い、食事摂取の状況などを考慮して退院日を決定します。

⑤    退院後

2週間後くらいに外来に受診していただきます。問題なければ次の外来受診は1~3ヶ月後です。

緊急手術にも腹腔鏡手術で対応しています

当科の救急疾患で最も多いものの一つに急性虫垂炎があります。

急性虫垂炎の手術では炎症を起こした虫垂を切除しますが、当科では原則として臍部(おへそ)の小さな創(2.5~4cm)一か所から腹腔鏡と鉗子などを挿入するか、12mmと5mmの穴と最新の2mmの鉗子を使用して行っています。

創が小さく痛みが従来の手術に比べて少ないだけでなく、きずは時間がたてばほとんど目立たなくなります。

その他、胃潰瘍や十二指腸潰瘍による腹膜炎などに対しても腹腔鏡手術を行っています。

さらなる低侵襲手術を導入しています

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 当院では一般的な5mm径の鉗子に加えて、最新の2mm鉗子を導入しています。
最近多くなってきている“単孔式(創が一か所の術式)”では、その一か所が3~4cmと大きな創になってしまいます。
また、鉗子が同じ穴から入るため、操作範囲が制限されたり、他の鉗子やカメラとぶつかるなどして操作に支障が出るため、高度の炎症を伴う胆嚢炎や虫垂炎には不向きでした。
2mm径の鉗子は挿入部位の縫合も不要で、時間がたてば創はほぼ消失してしまいます。
また、腹部のどこからでも挿入可能で、最適な場所からアプローチが可能なため、炎症の強い症例などでも対応可能です。
また、カメラ挿入孔は12mm程度の創で済むため、切開創も小さくなり更なる低侵襲と“手術のやりやすさ”を両立した術式になっています。
また、胃や大腸の腹腔鏡手術においても、従来の5mm鉗子に代えて2mmの鉗子をできるだけ使用することによって、“よりやさしい手術”を行っています。

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胸腔鏡・腹腔鏡手術はすべての患者さんが対象になるわけではありません。
詳しくは担当医までお問い合わせください。

<進行がんやステージ4に対する集学的治療戦略>

消化器(食べ物の通り道に関係する臓器)にできるがんの多くは早期発見することで根治が可能となることが多いですが、がんが大きかったり、他の臓器に転移(がんのとびひのようなもの)がある場合にはそれが難しく、さらに進行して致命傷になることがあります。
当科では抗癌剤や免疫療法、放射線と手術を組み合わせて、進行がんやステージ4のがんに対しても積極的に治療を行っています。
それによって、根治に至る場合や根治できない場合でも長期の生存が可能な患者さんがいらっしゃいます。
副作用などに対しても柔軟に対応して、患者さんの負担ができるだけ少なくなるように努めています。

なお、治療方針に関してはセカンドオピニオンも可能ですので、遠慮なく担当医までお申し出ください。

診療実績

臓器  手術症例 件数
食道 悪性 胸腔鏡  5
良性 胸腔鏡  0
胃   悪性 開腹 20
腹腔鏡 11
良性 開腹  2
腹腔鏡 3
結腸直腸 悪性 開腹 32
腹腔鏡 50
良性 開腹 8
腹腔鏡 0
肝胆膵 悪性 開腹 29
腹腔鏡 0
良性 開腹 8
開腹 2
腹腔鏡胆摘 52
乳癌 悪性 66
良性 7
甲状腺 悪性 2
良性 2
肺縦隔 悪性 0
良性 0
胸腔鏡手術 0
血管 6
急性虫垂炎 開腹 3
腹腔鏡 43
肛門疾患 27
ヘルニア 従来法 30
腹腔鏡 97
イレウス 12
小児外科疾患 15
その他 11
麻酔症例 538
全身麻酔 487
腰椎麻酔 12
局所麻酔 39

当科の認定施設など

専門医制度修練施設(日本外科学会)、専門医制度修練施設(日本消化器外科学会)、専門医・専門医制度認定施設(日本乳癌学会)

診療スタッフ

NCD症例登録について

当院では、一般社団法人 National Clinical Database(NCD)が主催する日本全国の外科症例のデータベース作成事業に参加し、症例登録を行っています。この事業についてNCDが説明しています。
詳しくはNCDホームページ(http://www.ncd.or.jp/)をご覧下さい。

外科系の専門医制度と連携したデータベース事業

病院医療の崩壊や医師の偏在が叫ばれ、多くの学会や団体が医療再建に向けて新たな提言を行っていますが、どのような場所でどのような医療が行われているかが把握されていない状況では、患者さん目線の良質な医療は提供できません。そこで臨床に関連する多くの学会が連携し、わが国の医療の現状を把握するため、『一般社団法人National Clinical Database』(以下、NCD)を立ち上げました。この法人における事業を通じて、治療成績向上や外科関連の専門医の適正配置の検討が可能となります。今の外科医を取り巻く状況は、外科医不足や過酷な労働環境など非常に厳しいものがあります。しかしながら我々外科関連学会では、社会への貢献とともに、このような状況を改善していきたいと考えています。皆様のご理解とご支援を頂けましたら幸いです。

             一般社団法人 National Clinical Database 代表理事
                                 里見 進